会長ごあいさつ

日覺昭廣

 公益財団法人東レ科学振興会は、国家繁栄の基盤は科学技術にあるとの考えに立ち、科学技術の振興を図ることを目的として、1960年(昭和35年)に設立されました。

 当財団が設立された頃の日本は、高度経済成長期に当たり産業構造が大きく転換し、様々な工業製品が私たちの暮らしに取り入れられ始めた時代です。その後、日本の工業製品は技術面での大きな進歩とともに信頼性を向上させ、全世界の家庭へも急速に普及するなかで、生活様式を一変させました。

 今では日本に続き、韓国、中国などアジアの多くの国々で非常に重要な工業製品が生産され、世界の産業に貢献しています。そうした中でも、日本は研究技術開発力によってアジアの国々を先導し続けており、まさに「科学技術創造立国」である我が国における研究技術開発の重要性を示すものです。資源に乏しい我が国が今後も発展していくためには、新しい価値の創造によって世界をリードすることが不可欠であり、優れた科学・技術を生み出すための基礎研究の重要性はますます高まっています。

 現在、日本は、人口減少・少子高齢化への対応など、社会的な課題が山積しています。日本が、経済成長を続けるうえで、依然として製造業の役割は大きいと考えています。「ものづくり」立国として科学技術や産業技術の向上によってイノベーションを推進し、貿易立国としての国の形を強固にすることが欠かせないと強く感じています。

 私は当財団を設立趣旨に沿って確実に運営していくことが非常に重要であると考えております。当財団は、これからも萌芽的研究の助成を通じて、基礎研究の推進を支援してまいります。また、中学校・高等学校の先生方を激励する東レ理科教育賞事業を通じ、優秀な科学者や技術者の人材育成の面でお役に立ちたいと思っております。

 「知の世紀」と呼ばれる21世紀においても、日本が「科学技術創造立国」として競争力を維持していくために、財団の運営を通じて、引き続き日本の科学技術振興に貢献していきます。今後とも当財団の活動をご理解いただき、一層のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

公益財団法人 東レ科学振興会
会 長
日覺昭廣